このため、家を相続する権利のある長男やそれにかわる男子、あるいは、養子をもらう立場にある家つき娘の力や社会的地位などが強くなった。昔の嫁の立場が、今などにくらべるとずっと弱かったことは、誰でも知っていることだが、それと同様、養子の立場も弱かった。だから、どうしても養子というと昔ながらの暗いイメージがつきまとい、世間もそのように受け取っているので、いくら法律が変わったのだからといっても、これから結婚する男性たちは改姓して女房の姓を名乗ることに激しい抵抗を感じざるをえないのだ。つまり、男にも世間体というものがある。実際はそうでなくても他人から少しでもそう思われることはいやなのだ。現代では、まだ世間一般の風潮として、結婚したら男が改姓するより女が改姓するほうが自然だという考え方があるのではないだろうか。そのため、相手が次男、三男、こちらが一人娘でも、どうしても男のほうがいやだといって、ぼくの友人の娘さんのように、仕方なく改姓する場合も少なくないのだ。素敵なパートナーにで、出会っても幸せに付き合うには努力が必要です。こんなことを書くのも、実は、ぼく自身がこの問題でいろいろ苦労したからだ。ぼくは三人兄弟の長男であとの二人は女、女房はたった一人の長女だった。結婚前、いったいどちらの姓を名乗るべきかについて、ずいぶん考えたし、迷った。ぼくは女房とは結婚したかったが、養子などになるのは真っ平だった。第一、子どものころからそんなことを夢にも思っていなかった。ぼくの両親だってそうだ。まさか長男が養子にいくなんて考えてみたこともなかったろう。

DU151_L